はじめに
投資家が有望な見込みのあるトークンやコインを目にしたとき、仮想通貨市場でよく使われる言葉の1つに、「強気(ブル)」という言葉があります。この言葉は、特定のコイン/トークンの価格が急上昇し、「成層圏を突き抜ける」機運が高まる傾向があることを意味します。
投資用語としての「強気」は、「弱気(ベア/Bear)」とは正反対のものです。興味深いことに、この2つの言葉の語源は動物に由来しています。ここでは、投資の世界で、2つの相反するサイクルを意味する言葉として使われるようになった経緯をたどってみましょう。
ブルの歴史
「強気」マーケットと「強気」な投機家とは、仮想通貨の価格上昇を期待して行われる投機的な購入を指します。
由来を紐解いていくと、諸説ありますが、雄牛や熊を狙う、動物を殺すことを伴うスポーツに由来しているようです。このような競技は、中世の1200年代頃から始まり、エリザベス朝時代に人気が高まりました。人々は、牛や熊を使った競技に大金を賭けて競技に参加し、その結果に賭けたのです。これが、今日の市場での投機における用語の使用法となっている説もあります。(牛が角を突き上げる様子と熊が前足を振り下ろす仕草に似ているからという説などもあります。)
シェイクスピアの劇では、雄牛や熊が登場する戦いについて言及しています。戯曲『Macbeth(マクベス)』では、不運な運命を背負った主人公が、敵に杭に繋がれてしまいましたが、「熊のように、私は戦わなければならない」と述べていたり、喜劇『Much Ado About Nothing(空騒ぎ)』では、雄牛は、野蛮であるが高貴な獣であるとしています。
仮想通貨市場における強気の市場サイクルの歴史
ビットコインは、その12年の歴史の中で様々な動きを見せてきました。2009年に誕生したビットコインを使った最初の支払いでは、1万BTCがピザ2枚に交換されました。これは現在では、笑ってしまうほどの金額です。2013年、ビットコインは1,000ドルまで上昇した後、300ドルまで暴落し、そこから回復するのに3年かかりました。多くの銀行やフィンテック機関、その他の施設などがビットコインを受け入れるようになり、あらゆるコインが市場に参入する中で、仮想通貨は徐々に成長していきました。2017年から2018年にかけて、ビットコインは19,000ドル超に上昇した後、米国の法的トラブルに直面し、1年で価値が70%も暴落しました。それでも2019年には、ビットコインは優良株をも凌駕し、昨年は世界経済が減速する中、新たな仮想通貨ファンドや先物によって投資家を魅了しました。
ビットコイン価格が急落するたびに、世界中の主流メディアは「ビットコインバブルが弾けた」と叫びました。実際、2010年以降、「Business Insider」や「Moneyweb」などの主要メディアによって、ビットコインは411回以上も「無価値」であると宣言されています。しかし、ビットコインは過去10年間で、複合年間成長率で年率210%の成長を遂げています。同期間で最もパフォーマンスの高い資産であり、史上最速で市場価値が1兆ドルに到達した資産でもあります。マイクロソフトが時価総額1兆ドルに到達するのに44年かかったのに対し、ビットコインは12年足らずでこれを達成したのです。
2021年の強気相場と、他の強気相場と異なる理由
ビットコインやその他の既存の仮想通貨は、当時における史上最高値を2013年と2017年に更新しましたが、2021年に見られる強気相場は、これらの過去の強気相場とは異なる特徴が見られます。2017年の強気相場は、特に日本や韓国などのアジア市場の個人投資家が仮想通貨の投資に投機的に参加したことが主な要因でした。彼らは、他の地域の取引所でビットコインが安く売られていたとしても、プレミアムにより高値でも購入しようとしました。
それから4年後、MicroStrategy社、Tesla社、Stone Ridge社、Square社などの企業は、予想されるインフレや米ドルの価値下落を防ぐために、米ドル建ての資金の一部をビットコインに変換し、競合を抑えて先頭に立ちました。
2017年の史上最高値と比較すると、 2020年のコロナウイルスによる市場の暴落前、ビットコインをはじめとする仮想通貨の価格は、実質的に損失を出していたことを忘れてはなりません。中国、欧州、米国などの各国政府が法定通貨を増刷することで市場を支えようとしています。機関投資家は、今後数ヶ月の間に差し迫ったインフレが起こることを想定しています。つまり債券や銀行の普通預金に預けている資金の平価切り下げのリスクが存在しているのです。
しかし、ビットコインやイーサリアムなどの上位の仮想通貨にとって、これらの懸念は実際には強気のケースを意味していました。ビットコインの「デジタル・ゴールド」としての魅力は、2,100万コインという発行可能枚数の上限にあり、これを超えて新規発行することはできないのです。
2021年末までの強気のビットコイン価格予測
ビットコインの価格予測の重要な指標として、ストック・フロー比率があります。これは、現在流通しているビットコインの総数1,880万枚に対して、新たにマイニングされたコインが年間で何枚なのかを示しています。ストック・フロー比率は、ビットコインの価格を測定・予測するのに役立ちます。ビットコインは4年ごとにマイニング量が半減し、それに伴って価格が上昇するという現象が確認されています。前回の半減期は2020年5月でした。米ヘッジファンドのPantera Capital社は、ストック・フロー比率とマイニング量の半減による価格への影響を調査した結果として、2021年末までに115,000ドルに到達するという、ビットコインの目標価格を提案しています。
典型的な強気市場で注意すべき2つの兆候-MVRV
MVRV (Market Value to Realized Value) スコアとは、ネットワーク評価の指標であり、市場時価総額(MV)と実現時価総額(RV)を利用した指標です。時価総額(MV)は、最新の取引価格に、流通している総数を掛けて算出しますが、実現時価総額(RV)は、ブロックチェーン上でそれぞれのコインの価格を「最後に動かされた時(異なるアドレス間で移動した時)の価値」をもとに算出します。その時のそれらのコインの市場時価総額を計算することで、実現時価総額を近似します。MVRVスコアは、この2つを単純に比較した比率です。
MVRV = MV / RV
長期保有者がコインを動かした場合、利益確定のサインと解釈され、仮想通貨の価格が急激に下落する可能性があります。
リスク警告:信用取引は資本に高レベルのリスクを伴うため、失うことができる金額でのみ取引をすべきです。信用取引はすべてのトレーダーに適しているとは限らないため、関連するリスクを完全に理解していることを確認し、必要に応じて専門的なアドバイスを求めてください。
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